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大切なのはアフターケアより旅ナカケア!トラベルプロデューサーが語る“疲れを残さない旅テク”|堀 真菜実

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  • ケア
最終更新日 2023.04.16
読み終わるまで12分

少しずつコロナ禍前の日常が戻り始めている今。「今年は遠くに行きたい!」と計画を立てている人も多いのではないでしょうか。しかし、非日常である「旅行」には疲労がつきもの。ちょっと遠くまで足を伸ばしたいけれど疲れは残したくない!そんなときのために、トラベルプロデューサーの堀真菜実さんに、疲れを残さない旅テクについて聞きました。

Profile
プロフィール
堀 真菜実
トラベルプロデューサー

新しい旅を作るトラベルプロデューサー。世界弾丸一周、廃校キャンプなど、手掛けるツアーは即日満席。はじめましてのメンバーで行く「シェアトリップ」の仕掛け人として、数千人の旅人と国内外を巡り、その経験をもとに、地方自治体や海外の観光局と、観光資源の発掘やツアー造成を行う。人と地域を繋ぐ場作り、メディア出演などでも活躍中。

2023年2月に観光庁によって行われた調査(※)によると、2022年の旅館やホテルへの宿泊者数はのべ4億5397万人泊となりました。施設タイプの内訳を見てみると、ビジネスホテルだけでなく旅館、リゾートホテルなどの稼働率も上昇しており、旅行需要が少しずつ戻ってきていることが伺えます。

(※ 出展 観光庁ホームページ「宿泊旅行統計調査」https://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/content/001588924.pdf

しかし、旅には疲労がつきもの。コロナ禍に身体を動かす機会が減少したことも相まって、旅行後の疲れに不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
今回お話を伺ったのは“旅のプロ”であるトラベルプロデューサーの堀真菜実さん。切っても切れない関係だと思われがちな「旅」と「疲労」ですが、旅行中の一工夫で疲れを軽減することができるのだそうです。その秘訣について聞きました。

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旅行疲れの原因は移動・新しい場所・スケジュール

トラベルプロデューサーとして旅のプランニングや場づくりを行う堀さんは、旅行疲れの原因は主に「移動疲れ」「慣れない場所に対する緊張」「無理なスケジュール」の3つだと話します。コロナ禍に旅行を我慢していた人ほど、久々の旅行への嬉しさから「あれもこれも」とスケジュールを詰めてしまいがち。しかし、あまりにもハードなスケジュールは疲労が残りやすいだけでなく、同行者とのトラブルの原因にもなりやすいのだそうです。

「わたし自身、子どもが生まれるまでは、旅先で寝る間も惜しんで遊んでしまうタイプでした。ですが、無理してスケジュールを詰め込みすぎたせいで疲れからイライラしてしまい、旅行中にパートナーと大喧嘩になったことも何度もあります(笑)」

子どもができた今は「旅の余白を作ること」「観光地を巡るだけのスタンプラリーにしないこと」をこれまで以上に心がけていると堀さん。当日の天気を見て行き先を変更したり、子どもの疲れ具合を見てアクティビティの内容を再検討したり、自分たちの「心と身体の具合」に目を向けながら柔軟に計画を変更することが増えたそうです。

「楽しい旅行になるようにと計画を立てているのに、それを死守するために疲弊してしまったら元も子もありません。たとえば我が家の場合は、友人家族と一緒に遊びに行っても、自分たちだけホテルに先に帰ってきてしまうなんてこともあります。最近は『無理なく』を最優先して旅を組み立てています」

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おすすめの旅ナカケア「荷物を軽く小さく」

旅のプロだからこそ、旅行後のボディケアも重視しているのでは?そう思い尋ねてみると、堀さんから返ってきたのは意外な答えでした。

「実は、アフターケアにはあまり力を入れていないんです。それは、旅の間のケアにすごく気を遣っているから。連泊でも1日ごとに疲労をリセットし、疲れを『溜めない』ことを第一に考えています」

旅ナカケアとして堀さんが最重要視しているのは、良質な睡眠を確保すること。そのために、布団やベッドは一人ひとつ。お子さんはまだ1歳と3歳で添い寝ができる年齢ですが、旅館への宿泊のときは布団を人数分、ホテルのときはベッドを3台以上入れてもらい、各自がしっかり眠れる環境を作っているそうです。また、お子さんのお昼寝と移動時間を重ねることもしばしば。旅行中でもお昼寝の時間を確保できるため、機嫌よく過ごしてくれると言います。

そして堀さんは「疲れを溜めないもうひとつのコツは、できるだけ荷物を少なく軽くすること」だと話します。荷物は徹底的にそぎ落とし、持っていくものは「用途が複数ある(兼用できる)か」「小さくて軽いか」を基準に考えていくそうです。

実際に旅のお供を見せてもらうと、たしかに軽いものばかり。写真左上から時計回りに、コンパクトアウター、布製の抱っこひも、オールインワンウェア、カードの入るスマホケース、虫よけもできる日焼け止め、ポータブル充電器、バックハンガー、そして2枚の風呂敷と、汎用性の高い小さなものが並びます。

中でも堀さんが一押しのグッズは、なんと「防水風呂敷」。

「荷物をぜんぶ風呂敷の上に置いてぎゅーっと縛るだけでひとつにまとまるから、すごく便利なんです。家族の分の荷物も同じように、一人ずつ風呂敷の上にまとめてぎゅぎゅっと絞る。4人家族なので包みが4玉できて、それをそのままスーツケースやリュックに詰めるだけでパッキング完了です」

荷物を包むだけじゃなくいろんなシーンで活躍するのが風呂敷のいいところです、と堀さん。たとえば海外では多少の雨が降っても傘を差さない人が多いため、堀さんも折り畳み傘は持たず、風呂敷を頭の上にかけて雨をしのぐといいます。さらに、結んでバッグにしたり、寒いときに羽織ったり、汚れたものをまとめておいたり。一人何役もこなす、軽くて小さい最強グッズです。

「重い荷物は、想像以上に疲労につながります。だから汎用性が高く、軽くて小さいものを選ぶのがとても大切です。荷物が減れば、空港での荷物の預け入れ、パッキング、スーツケースとの移動などを無くすことができるので、無駄な体力と時間を奪われずに済みます。『疲れない』を優先するあまり、ときには今回は置いていく!と大事なものを諦めることもあるくらいです(笑)」

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疲れをリセットするためのテクニック

そして堀さんは、疲れをリセットするためのマル秘テクも持っているのだと言います。それが、充電式で持ち運びができるコンパクトなマッサージツールでのナイトケア。小さく軽い荷物にこだわる堀さんですが、旅の工程によってはあえてこのハンディガンを「旅のお供」に入れることもあると言います。

「このハンディガンは350mlのペットボトルよりも軽いうえに、手のひらサイズ。荷物全体の重さにあまり影響がないので、疲労回復を考えると持っていきたいグッズのひとつです」

お子さんを抱っこしたり、家族みんなの荷物を背負ったりすることもあるという堀さん。夜になるとどうしても背中が凝ってしまうため、ハンディガンでコリをケアしたくなるのだそうです。また、運転することの多いパートナーの肩をケアし、お互いを労わりあうこともあるのだとか。

「子どもたちは旅先でも21時には眠ってくれるので、それ以降は大人ののんびりタイム。一方が子どもを見ている間に一方はゆっくり温泉に浸かったり、マッサージし合ったり、リラックスして疲労回復に努めています」

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「今の自分にとって最適な方法」を徹底的に

「でも結局のところ旅に絶対の正解はなくて、『今の我が家にとって楽な方法』を徹底的に追及しているだけのような気もしているんです」。堀さんはそう言います。

「荷物の軽さと小ささが大事!という話をしてきましたが、最近は二人とも大きくなって常に抱っこは難しいので、あえて座れるスーツケースを持っていくこともあります。座っている姿を周囲の人に『かわいい』って褒められるからなのか、最近は下の子と取り合いになっていて。もう少ししたらスーツケース2台体制になるかもしれません」

昔も今も「疲れを溜めないこと」は意識し続けている、と堀さん。ところが、ぶれない軸がある一方で、ライフスタイルに合わせて変化していく事柄もあるのだそうです。

寝る間も惜しんで、夜通し仲間とのコミュニケーションを楽しんでいた過去。家庭を持ち、子どものライフスタイルに合わせて、「詰め込みすぎない柔軟性重視の旅」を意識している今。そして子どもの成長とともに選択肢を広げ、たくさんの景色を一緒に見に行くであろうこれから。いつでも「そのときのライフスタイル」があるからこそ、柔軟かつ貪欲に、今の自分たちにとって最適な形を探したい。堀さんはそうインタビューを結びました。

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インタビューを終えて

旅行はワクワクする一方で、帰ってきたあとの日常を想像し「疲れるの、いやだなぁ」と憂鬱になることも多いもの。しかし、今回の「疲れを溜めないテク」を活用すれば、翌日に響かない旅を計画できそうです。約10年トラベルプロデューサーとして活躍する「旅プロ」直伝のテクニックは、コロナ明けに旅を楽しむ多くの人の背中を押すに違いありません。


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