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運動で成績もUP!?幼少期にする運動の重要性とは?丨伊藤 俊太

  • ケガ予防
  • ストレッチ
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最終更新日 2023.07.31

最近はサッカーや野球などのスポーツ少年少女団のほか、スポーツ教室や単発で開催されるかけっこ教室などが人気です。子ども自身が運動をロジカルに考え、そして実践的に学ぶ機会になっているのだとか。そこで今回は野球やゴルフのほか運動能力全般の向上を目指す教室ディーエーアカデミー杉並中野校の伊藤俊太校長に、幼少期に運動能力を高めることの重要性や、運動能力と学力の関係性やメンタル面への良い影響などをお聞きしました。加えて、運動会などで運動不足の親がケガをしないためのケア方法もご紹介いただきました。

Profile
プロフィール
伊藤 俊太
ディーエーアカデミー杉並中野校校長

フィジカルトレーナーとして、子どもからプロアスリートまで幅広い層に指導を実施。小学校から大学まで野球を続けるなか、小学4年生時にトレーニングの大切さ、障害予防の大切さを実感し、自分自身のパフォーマンス向上につながることを体感。以降「身体が変わればパフォーマンスも変わる」という信念をもとに、指導する側になってからも選手一人ひとりの特性や目的に合わせた最適なトレーニングを提供することを心がけている。

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子どもたちの基礎運動能力が低下している?

スポーツ庁が実施した2022年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査によると、子どもの体力合計点は小・中学校の男女ともに令和元年の調査から連続して低下しているほか、小学生の50m走や、中学生の持久走、反復横とびなども低下が見られます。

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※出典:スポーツ庁ホームページ「令和4年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果」

調査によると1週間の総運動時間が420分以上の子どもたちが2021年度よりも増えているにもかかわらず、各種目の記録が伸び悩んでいるのはなぜなのでしょうか。
日頃からフィジカルトレーナーとして子どもたちと接しているディーエーアカデミー杉並中野校の伊藤俊太さんも、子どもたちの基礎運動能力の低下を指摘しています。

「僕が子どもの頃から運動不足は言われていましたが、近年はそれに加えて、基礎的な運動能力が低くなっていると感じています。昔は野球などひとつのスポーツが得意な子は他のスポーツも上手な子が多かったのですが、今は野球が上手な子は野球だけ。サッカーが得意な子はサッカーだけ、といった印象があります。野球が上手な子にボールを蹴らせると、タイミングが全然合わなかったり、膝の曲げ方・伸ばし方が下手でボールが飛ばなかったりするんです。ジャンプが下手な子も結構います」

その理由として挙げられるのが、早い段階からひとつのスポーツだけに特化して取り組んでしまうことがあるようです。自由に遊べる広い公園が減るなど、運動の基本となる、走る・蹴る・飛ぶといった体全体を使った動きをする遊びが減り、競技として必要な動きを中心に学ぶことから体全体を動かす基礎運動能力が低下していることが推測できます。

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子どもと運動の関係性

そんな子どもたちの運動能力ですが、近年では運動と学力の関係性が指摘され「運動すると頭がよくなる」といった説が注目を集めています。伊藤さんも「あくまでも当アカデミーに通う子たちの印象ですが」としつつ、運動能力と学力の関係性や、学業における運動のメリットを指摘します。

「運動を始めたことで、物事に対する姿勢や取り組み方に変化が生まれると感じています。当アカデミーをはじめ多くのスポーツクラブや少年団では、運動を始める前に挨拶をし、自分の荷物を整理して道具を準備。最後に片付けをします。挨拶や整理整頓が身に付きますし、次にこれをするからこれを準備しておこうというように先回りして物事を考えるようになります。

また、今自分が何をしているのか。それはどの能力を上げるためのトレーニングなのか。上手くいかないのは何故かを考え、別の方法を考えて実践する。いわゆるPDCAのサイクルを回すことが上手くなります」

それらの習慣が学習面にも現れてくると、学力向上を促す可能性がありそうです。さらに伊藤さんは、スポーツや運動が子どもに与える「成功体験」がとても大切だと言います。

「今、失敗を恐れて挑戦しない子が増えていると感じています。一度の失敗がとても大きな失敗に感じてしまいますし、何が成功なのかがわかりにくいからかもしれません。でも、運動は成功体験や達成感をとても得やすいんですよ。例えば体が硬い子がストレッチをして前屈ができるようになった。

トランポリンで足を揃えて飛べるようになった。投球が目標のラインに届くようになったなど、自分の体を通した実感はとてもわかりやすい。テストの点数が50点から55点になってもどのくらいすごい成長かわかりにくいですが、座って前屈するときに足の指に手が届くようになると、ものすごい進化を感じませんか? そこが運動の良いところです」

「そして運動は失敗して成長していくのが当たり前。他の子の“失敗しても挑戦する姿”を見て自分もどんどん挑戦するようになる。そんな良い循環が生まれます。挑戦しないことこそが、才能にとって最大の失敗です。気軽に挑戦し、前向きにやり直していける運動は、子どもたちにとって最適な“挑戦できる環境”だと思います」

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急な運動でケガをしないための、大人向けおすすめストレッチ

子どもたちに運動を促すならば、親も一緒に運動をすることをおすすめする伊藤さん。しかし、日頃運動不足を実感していると急に動けるのか不安があります。そこで重要となってくるのが柔軟性を高めるストレッチだそうです。特に重点的に動かしたいのが股関節と背骨周辺、ふくらはぎとのことで、運動前のおすすめのストレッチをお聞きしました。

股関節(足のつけね)から背骨にかけてのストレッチ

大きめに左足を前に出して90度ほどに曲げ、右膝を床に付けます。上半身は真っすぐ縦に。右足の足首は伸ばし、重心は中央に。股関節が柔らかい人は足をさらに前に出したり、後ろに伸ばしたりしてください。

右足は前側のつけね部分の伸びを、左足はお尻側の大殿筋が伸びていることを意識しながら、右腕を耳の位置まで挙げます。左手はバランスを取るために腰へ。

脇腹から腰周辺の筋肉が伸びるよう右腕を左側に倒して10秒。腕を耳の位置まで挙げることで肩甲骨周辺の筋肉のストレッチにもなります。10秒を3セット行い、反対側も同様に。

電動フォームローラーを活用した、ふくらはぎのケア

電動フォームローラーを置き、足首の少し上の部分を乗せて稼働させます。この時、ケアしたい足を下にして交差させます。

ふくらはぎに振動を与えながら、足首を左右にゆっくりと振ります。1ヶ所につき10回往復。終わったら電動フォームローラーを移動して、ふくらはぎ中央、膝下など片足につき3~4ヶ所をケアします。

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子どもと一緒に遊びながらトレーニング

親子で一緒に体を動かすなら、遊びが一番。それなりの負荷があり、しかし激しすぎない遊びを教えていただきました。

もちろん、毎日5分ほど簡単な運動を親子で一緒に行ってもよし。「見て見て。こんなにできるようになった」など会話が生まれ、親子のコミュニケーションにもなります。

親子でできる遊びながらのストレッチ

印となる紙や石・葉っぱなどを周囲に円を描くように5~6枚置いて立ち、真正面を1番として時計回りに番号を付けます。片足立ちをし、曲げているほうの足と同じ側の腕を上に挙げます。

他の人が指示した番号の印を伸ばしたほうの手でタッチ。タッチできたら最初のポーズに戻り、次の番号の印をタッチします。上げているほうの足を地面に着けてしまったら終了。交代します。左右それぞれで行います。

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自主性を大切にするカリキュラムで子どもの可能性を広げる

ディーエーアカデミーには、特定のスポーツに特化せず基礎となる全体の運動能力の向上を目指す運動能力アップコースと、野球コース、ゴルフコースがあります。このうちの運動能力アップコースについてお聞きしました。

「幼児期のうちに身に付けておきたい“36の基本的な動き”というものがあります。当アカデミーではそれらの動きを中心にしたカリキュラムを組み、基礎運動能力を向上させていきます。

とはいえ、毎回決まったことをするのではなく、子ども本人に今日は何をしたいのか、したほうが良いのかを聞き、それに合わせてその日のメニューを決めます。毎回必ず聞くので、最初のうちはどうすればいいかわからなかった子も1~2ヶ月もすると自分から目的をもってメニューを組み立てていけるようになります。この方法は子どもの自主性が育つため、ご家庭でも積極的に自分から何かをするようになったといった声をよくいただきます」

その方針は野球やゴルフのコースでも同様で、飛距離を伸ばしたいといった個々人の希望に合わせて、何をすればよいかを自ら考えさせて取り組むそうです。これら2つのコースでは動画も活用し、客観的に見ることで上達していくのだとか。

「子どもの成長速度はすごいですよ。過去には複数人数でやるのが苦手な子がいたのですが、人の少ない日に来てもらい周囲の目を気にしないようになった途端、一気に上達しました。自分に合った方法を一緒に考えながら、運動の楽しさを実感してほしいですね」

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インタビューを終えて

子どもにとって運動は、健康面や学習面の向上はもちろん、自信がつく、挑戦するようになる、達成感が得られるといったメンタル面でのメリットも大きいようです。

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