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Body and mind maintenance

格闘家・所英男(46歳)に学ぶ、いつまでも“動ける身体”のつくり方

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公開日2023.09.28
最終更新日2023.10.02
読み終わるまで8分

“闘うフリーター”のキャッチフレーズで、大晦日の格闘技イベントを盛り上げてきた所英男選手。プロデビューから22年経ち、46歳になった今も現役格闘家として闘い続けています。人生100年時代といわれるなか、どうしたら所選手のように年齢を重ねても“動ける身体”を維持できるのでしょうか。所英男流の身体づくりや、モチベーションの保ち方について教えていただきました。

Profile
プロフィール
所英男
格闘家

2001年プロデビュー。”闘うフリーター”のキャッチフレーズでTBS『HERO’S』に出場。 王者A.F.ノゲイラから劇的な勝利を挙げ、一夜で全国区に。グレイシー一族らを相手に名勝負を量産。試合では普段の穏やかな性格とは一転、アグレッシブで面白い試合をすることに定評がある。DREAM初代バンタム級王者。アメリカBellator年間ベストバウトに選出。格闘技界最多の大晦日11回出場。46歳の現在も「RIZIN」などで活躍中。

リバーサルジム武蔵小杉 所プラス

所英男instagram

所英男X

30代後半で気づいたケアの大切さ。体調管理に変化も

46歳の今も現役格闘家として活躍し続けている所英男選手。20代の選手と遜色なく闘う姿は超人のように見えますが、私たちと同じように年齢による身体の変化を感じているそうです。そして気づいたのが、ケアの大切さだったと言います。
 
「20代~30代の頃と比べて疲れはとれないし、ケガをしたら治りも悪い。37歳くらいまでは“まだまだ大丈夫”という感じでしたが、38歳から40代にかけて、身体の変化を実感するようになりました。それまで、ケアに関しては全然やってこなかったんです。もっと早くから知っていればという思いもありますが、今はハンディガンや電動フォームローラーなどを日常的に使っています。家でくつろぐ時間があればケアしますし、海外に練習に行くときや遠征先にもケアグッズを持っていきます。やっておくと、次の日のコンディションが違います」

近年、年齢を重ねても活躍を続ける格闘家やアスリートが増えているように思います。その理由のひとつは、疲労回復や運動機能向上のためのケアに対する知見が広まったからではないかと問いかけると「絶対にあると思いますね」と所選手。「ケガへの対処やリカバリーケアに関する情報も、今はすぐに教えてもらえます。特にケガに関しては、選手同士で情報交換もしています」


試合前の調整の仕方も若い頃とは少し違ってきているそうです。「がっつり練習するのは試合の2週間くらい前まで。あとは調子を見ながら疲れを抜いてコンディションを整えます。そうしないと、疲れが残ったまま試合に臨むことになってしまいます。リカバリーの期間をしっかりとるのは、若い頃との違いですね」


変わらず続けているのは、毎日2時間の練習と暴飲暴食はしないこと。特に、試合後のアルコールは絶対にNGだそうです。
「最高においしいのは分かるんですが、ダメージのあるところでお酒を飲んでしまうと、後々に影響がでます。これだけは若い選手にも伝えています」


年齢による身体の変化を受け入れることで、成長していける

2011年、所選手は武蔵小杉に「所プラス」をオープンしました。当時は珍しかった、初心者歓迎の格闘技ジムです。所選手自身も寝技や総合格闘技、キックボクシングなどのクラスで教えています。


「格闘技を使って、みんなで楽しんでいる感覚です。10代~50代までいますが、僕と同年代の会社員や主婦の方が多いです。何歳になっても新しいことにチャレンジする気持ちがすごいですよね。ゼロからはじめた人が練習を続けて、一緒にスパーリングできるまで上達すると、めちゃくちゃうれしいです」


 
続く人とそうでない人の違いを所選手はこう語ります。
「自分もそうですけど、40代、50代になれば若い頃とは絶対に違うんです。それを受け入れられる人が成長していくように感じます。昔のベストな自分を頭に描いていると、思ったように動けずに心が折れてしまう。でも、いきなり全盛期と同じようにはいかないです。今の自分を受け入れて、できることをやる。そうしたら、最終的には昔のような身体になれるかもしれません」

所英男流 モチベーションを維持する方法とは

どんな仕事でも、年齢を重ねるとモチベーションを保つことが難しくなってきます。所選手のような格闘家なら、なおさらではないでしょうか。どのようにしてメンタルコントロールをしているのか伺いました。


「若い頃は試合が決まったら『よっしゃ!』と勢いで燃えていったのが、だんだん燃えカスみたいになってきてしまって(笑)。そのカスを集めて、また燃やすというような。若いときより気持ちをつくるのは難しいですね。でも、だったら辞めればいいって話になるので、あんまり言わないですけど」


最近は対戦相手の試合を見たときに「いいところばかりが目に入るようになった」とか。相手のいいところ=自分にとって怖いところ。若いときよりも、怖さを感じるようになったとも言えますが、年齢を重ねて相手と自分を冷静に見られるようになった面もあります。


「組み合ったときの駆け引きだとか、ここで技を出すという度胸だとか、これまでの経験が生きてくることもあります。自分はそんなに上手くないので偉そうなことは言えないですけど。でも、経験によって上がる能力もある、そう信じてやっています」


お兄さんの影響で子どもの頃から格闘技が好きだったという所選手。21才で格闘技を始めて「ドハマリした」そうで、仕事も辞めて打ち込み“闘うフリーター”となりました。その後の活躍はご存知の通りです。
そして今、ジムは盛況でそれだけで生活できる基盤もあります。大きなケガをする可能性などを考えれば、現役を続けることはリスクの方が大きい。それでも闘い続ける理由を「結局、好きだから」と笑って答えます。


リビングでもできる、おすすめの“ながら”ケア&ストレッチ

年齢を重ねてケアの大切さに気づき、自宅でも時間があればセルフケアをしているという所選手に、リビングでスマートフォンやテレビを見ながらできるケア&ストレッチを教えていただきました。
今回ご紹介するのは、お尻まわりにアプローチするケアとストレッチです。お尻の筋肉は下半身の動作に関わり、股関節を動かして歩いたり走ったりするときに働きます。ここが硬いと腰痛にもつながるので、しっかりケアしていきましょう。

お尻の筋肉をほぐすケア

電動フォームローラーの上に座るようにして、片側のお尻に当てます。骨ではなく筋肉に刺激がいくよう調整しましょう。1ヶ所につき約1分を目安に、少しずつ当てる位置を移動させます。全体をケアしたら、もう片側のお尻も同様に行います。

次に片ひざを曲げて、足のつけ根(股関節)周辺もケアしていきます。床に片手をつき、バランスを安定させながら当てる場所を移動していきましょう。1ヶ所につき約1分が目安です。

大殿筋(お尻)のストレッチ

ひざ立ちから、片方の足を踏み出して上半身を前に倒し両手をつきます。踏み出した足のひざ下が両肩と平行になるように曲げ、もう片方の足は後ろへまっすぐ伸ばします。この状態から、肘を床につき上体を前に倒して30秒キープします。3回ほど繰り返したら、足をかえて同様に行います。

自分が頑張ることで、同年代の人が喜んでくれることがうれしい

総合格闘技大会「RIZIN」では、自身の半分ほどの年齢の選手と闘うこともあります。2016年には山本アーセン選手(当時、所選手39歳、山本選手20歳)、2022年には神龍誠選手(当時、所選手44歳、神龍選手22歳)との試合が組まれました。勝っても負けても、年齢を重ねなお熱く闘う姿にファンは心を動かされ続けています。

所選手の活躍に希望を見出している40代〜50代も多いと伝えると「同年代の人が、自分が頑張ることで喜んでくれるのは本当にうれしい」と笑顔を見せます。


2022年に「あと3試合はRIZINでやりたい」と答えていた所選手。その後、試合を重ねた現在の心境を伺うと「今も『あと3試合』と思って練習しているんですよ。ずっと『あと3試合』のままです」と笑います。
「でも、ダメになるときがくるかもしれない。それは分からないですよね。できれば、最後の試合は地元の『とどろきアリーナ』でできればうれしいです。今までお世話になった人にも、ジムのみんなにも来てもらって恩返しができたら最高です」と教えてくれました。


インタビューを終えて

日々の練習や試合に向けた減量など苦しいことも多いはずですが、それを一切感じさせず、「格闘技が好きだから続けている」と笑顔で言い切る姿に胸を打たれました。いくつになっても好きなことに夢中になれる心の若さ。またそのための努力を惜しまない姿勢が、人生100年時代を豊かに生きるために重要なのかもしれません。

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