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Body and mind maintenance

骨盤を制して、更年期を美しく健康に過ごす。ベリーダンサーが語る“ゆるみ”の大切さ

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公開日2023.12.21
最終更新日2023.12.26
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更年期にあらわれる様々な不調。年齢的なものとして諦めている方も多いのでは。しかし、生活習慣の見直しや、適度な運動によって不調は改善できるとも言われています。中でも運動と腸内環境とは深い関係が示唆されています。そこで今回は、骨盤周りをゆるめて外から腸活を手助けする方法のひとつとして期待されているベリーダンスに着目。ベリーダンスとエクササイズを合わせた「Bellybics(ベリービクス)」の考案者でもあるベリーダンサーのtaeさんにお話をお聞きしました。

Profile
プロフィール
tae
ベリーダンサー兼講師/ベリーダンス教室「Al Tarab」主宰

ファッションモデルを引退後、美容製品の商社で広報を担当している時にベリーダンスと出会う。2005年にプロに転向し、2006年に最初の著書を発表。2008年に「Al Tarab」を創立。ベリーダンスとエクササイズをかけ合わせたメソッド「Bellybics(ベリービクス)」考案者。
https://bellydance.amebaownd.com/

ゆるんで踊るベリーダンスと女性の体

腰をリズミカルに動かす独特の動きが特徴のベリーダンス。この動きは、骨盤を振動させることで実現しています。その振動が骨盤周りの血流を高め、骨盤底筋などを鍛えることから腸活や女性にとっておすすめのダンスと言われています。一見、激しい動きで若い人向けに見えますが、40代~50代にもおすすめのダンスだと語るのは、ベリーダンサーとして幅広く活躍するtaeさん。骨盤周辺が鍛えられることで、どのような利点があるのか、お聞きしました。
 
「ベリーダンスは骨盤周りを動かして踊るダンスです。骨盤周りが鍛えられて骨盤底筋が厚くなると、クッションとしての役目を良く果たします。この骨盤底筋は内臓全体を支える役目があり、動かすことで骨盤内の血流がアップします。その結果、体全体が温まりやすく腸内環境にも良い影響があります。ベリーダンスが女性に多い悩みである冷えや便秘などに良いと言われるのは、そういった点があるからでしょう。妊娠しやすい環境作りにも通じるかと思います」
 
妊活にもおすすめのベリーダンスですが、骨盤を使った動きだからこそ、更年期にも重要な繋がりがあると言います。
 
「骨盤は必要に応じて開いたり閉じたりしますが、その最たる例が月経です。月経がくると開き、終わると閉じていきます。ところが閉経に向かう更年期になると生理中以上に骨盤が開きっぱなしになり、その状態が2年間ほど続くと言われているのです。その期間中は月経中と同様の症状が生まれ、気力がなくなったり、気持ちが揺れやすくなったりもします。それが更年期の不調のひとつです。不調はつらいものですが、自然に開くべき動きにむやみに抗えば、閉じようとする時に体や顔の歪みといった不具合が出ます。更年期に伴う骨盤の開きによる心身の不安定さは運動などでもケアできるものの、骨盤で自然に行われている動きを損なわないことが大切だと私は思います。更年期を過ぎれば骨盤は適宜の開閉を再開するので、気長に待つのも悪くないでしょう。それよりも普段から骨盤を意識した姿勢を保ち、骨盤周辺の筋肉を鍛えることができれば、更年期を迎え入れる準備になると感じています。
 
現在、私はプレ更年期と呼ばれる世代になりましたが、気力の落ち込みは多少あるものの、疲れやすさやダルさなどの体力的な面ではほとんど症状がありません。元々ベリーダンスを始めてから肩こりなどもなくなりましたし、体の血流が上がることで更年期に向けた下地作りができているのではと思っています」

骨盤と骨盤底筋を意識して女性に多いトラブルに強い体をつくる

taeさんのスリムなお腹周りを拝見すると、体を常に引き締め、しっかりした筋トレが欠かせないのかと思いきや、実はベリーダンスは「ゆるむ」ことを大切にしたダンスなんだそうです。
「私がベリーダンスに出会ったのは、会社員として美容関連の広報をしていた頃です。直前までモデルをしていたこともあり、スリムな体型の維持に必死。減量に無知だったために食事を減らすばかりで体力もなく、筋トレなどはしていなかったと思います。薄っぺらな体つきで冷え性、便秘気味など、今考えると健康的な美しさとは言えませんでした。ところが、ベリーダンスを始めてしばらくすると、ウエストや背中が引き締まり、くびれが自然とできてきたのです。冷え性もなくなり、1年ほど続けた頃にはエステに通っても消えなかったセルライトも気にならなくなりました。

 
そうお話しすると、ベリーダンスは激しい動きで、体を引き締めて踊るダンスだと思われがちですが、実はそうではないんです。元々は砂漠の砂の上に絨毯を敷き、その上で踊るようなダンスです。やわらかな地面を踏んだ反発力を活かしながら、体は緊張させずにゆるんだ状態で踊ります。この“ゆるみ”がベリーダンスにはとても重要で、ゆるみがあるからこそ、強くしなやかに踊ることができるのです」

一度ゆるめた筋肉だからしなやかに動く

体をゆるめるのがベリーダンスで最も大切だと語るtaeさん。ベリーダンスが2000年頃にブームになった際には、インナーマッスルと骨盤リセットが着目されました。インナーマッスルとゆるみ。一見、正反対にも感じますが、ゆるむからこそインナーマッスルが鍛えられるとtaeさんは指摘します。

「一般的にはスタイルを引き締めようとすると、筋肉を緊張させて締めることを意識してしまいがちです。しかし、力が入っていて締まっているところに、さらに負荷をかけてもそれ以上は縮みません。伸ばしきったゴムが、それ以上伸びないのと同じです。一度ゆるめることで筋肉が元に戻り、そこに負荷をかけることで筋肉が鍛えられます。

 
私がこれまで見せていただいた方の中には、日常生活や姿勢で間違った体の使い方をしていたため、歪んだ状態で筋肉が固まっているパターンが多くありました。これでは動作の可動域が狭くなり、うまく体を使うことができません。すると効率的に動けないばかりか、疲れやすい、ダルい、疲れがとれない、基礎代謝が上がらないといった負の連鎖が起きてしまいます。まずは、体をゆるめることから始めてみると良いと思います」

 
体をゆるめるという感覚を掴むのにはコツが必要で、taeさんのベリーダンス教室でも最初からうまくできる生徒さんは少ないとのこと。まずは深い呼吸を続けて全身に入れていた力を抜くことから始めてみると良いそうです。

最後に、いつも魅力的で美しいtaeさんに更年期を乗り切るコツをお聞きすると「まずは気持ちが大切。ダンスはきれいな衣装を着て踊るので、そこで気分を上げていくのも良いと思います。ただ気持ちがのらない時もあります。そんな時は、意識して姿勢を正し、目線を上げてみるなど、ポジティブな雰囲気を演技してみてください。たかが姿勢と思われるかもしれませんが、気持ちが引っ張られることってありますので」と、運動だけではない秘訣を教えていただきました。

骨盤回しで仙骨周りをゆるめ、腸活&リラックス

骨盤はメンタルや内臓、ホルモンなどの影響を受けては動き、常にずれるのが本来の仕組み。しなやかな開閉のために骨盤回しのテクニックで骨盤の中心にある仙骨周りをゆるめましょう。骨盤を回すことで腸に刺激が入り、腸活にも通じます。同時に、骨盤を正しい位置に戻すケアを続けることが大切です。

骨盤周りをケアする骨盤回しエクササイズ

1.座面が平らな固めのイスに、反り腰や猫背にならない姿勢で座ります。腕は胸の前で交差し、動作中も上半身の位置を固定します。左右の坐骨に、均等に体重が乗っているのを確認してからスタート。坐骨は、座った時に座面に当たるお尻の尖った骨。坐骨を意識して真っすぐ座ると「骨盤が立った」状態となります。

2.足や踵は浮かせずに右膝だけを指2本分ほど前に出します。

3.同様に左膝だけを前に出して、左右を揃えます。主に太ももに体重が乗り、反り腰のような姿勢になりました。

4.右膝を元の位置に戻します。この時も足を浮かせて動かすのではなく、坐骨に体重を乗せ直すイメージです。

5.左膝を元の位置に戻し、左右の膝を揃えます。坐骨に体重が乗り、骨盤が立った姿勢になります。この小さな動きを、上半身を動かさずに10回程繰り返します。左膝からも同じく繰り返します。

足のダルさはその日のうちにケア。下半身の筋肉のゆるめ方

筋肉は引き締めるだけではなく、ゆるめることも大切です。ウォーキングや長い時間立ち仕事をした後など足の疲労やダルさを感じたら、まずは下半身の筋肉をしっかりとゆるめておきましょう。ケア後の足が軽やかに感じます。ただし、瞬発力とパワーを同時に出すべき直前に筋肉をゆるめると、本来の力がうまく発揮できない場合もあります。1日の終わりや、家でリラックスしている時などにおすすめです。

足と臀部には力が入っていないほうが良いため、ケアとは反対側の足に体重を乗せるか横になります。ハンディガンを体から離さず一筆書きの要領で行い、一連の動きを片側ごとに完成させていきます。

1.腰方形筋のケアからスタート。背中側の骨盤の上と腰方形筋の間にハンディガンを添えます。骨に当たらないように注意しながら、左右に3~5往復ほどゆっくり滑らせます。

2.ハンディガンを正面に滑らせて、腸骨綾から骨盤の内側を縦に3~5往復し、鼠径部の奥にある腸腰筋を刺激します。

3.鼠蹊部を横に3~5往復。ここには大きなリンパ節もあるので、むくみにもおすすめ。

4.ハンディガンを横に移動させ、円を描きながら大転子周りを3~5周ほどぐるぐると回します。

5.最後に、お尻全体を仙骨まで扇状に往復します。

反対側も同じようにケアします。

06. インタビューを終えて 運動とともに、気持ちも大切と言うtaeさん。

更年期に必要以上に抗うのではなく、素敵な年の重ね方をしていく準備期間として受け入れることも大事だそうです。

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