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筋トレの作用を最大限に引き出すには?食事とプロテインの基本を解説

公開日2024.03.31
最終更新日2024.03.18
読み終わるまで8分

「筋トレをしてもなかなか筋肉がつかない…」そんなときは、トレーニング量や方法を見直すことも大事ですが、「食事」を見直してみてはいかがでしょうか?本記事では、トレーニングの目的に応じて気をつけたい食事のポイントや、補助としてプロテインなどのサプリメントを活用する方法や、注意点についてもあわせて解説します。

筋トレのパフォーマンスを底上げする食事とは?

筋トレの作用を最大限に発揮させるためには、特にタンパク質と糖質に注目し、そのほかの栄養素も過不足なくバランス良くとることが大切です。筋トレには、筋タンパク質(筋肉を構成するタンパク質)をつくるはたらきがあるだけではなく、摂取したタンパク質などへの感受性を高める作用があります。つまり、筋トレと栄養素摂取の相乗効果で、筋肉を大きく育てることができるのです[1]。では、それぞれの栄養素の役割を確認しましょう。

タンパク質

タンパク質は筋肉をつくり、強くする重要な栄養素です。タンパク質の原料となるアミノ酸の中には体内では合成できないものもあるため、以下の食材を参考に、食事から積極的に摂取しましょう。
 


  • 肉類(牛ひき肉、豚もも肉、鶏もも肉、ハムなど)、卵

  • 魚介類(マグロ赤身、あじなど)

  • 大豆製品(豆腐、納豆など)

  • 乳製品(牛乳、チーズなど)


糖質

糖質は体を動かすための主要エネルギー源です。不足すると、体はタンパク質を分解してエネルギーをつくり出そうとするため[2]、トレーニングをすればするほど筋肉量が減ってしまうこともあります。トレーニングの前後に以下のような食品を摂取するようにしてください。
 


  • 白米

  • パン

  • 麺類

  • イモ類

  • かぼちゃ


ビタミン・ミネラル

ビタミンは体を調整する栄養素で、すべてをバランス良くとることが大切です。特に、ビタミンB6はタンパク質の合成をサポートするため、強い筋肉づくりに欠かせません[3]。
 
ミネラルは骨や血液をつくる栄養素です。貧血予防やコンディションの維持のためにも積極的に摂取しましょう[4]。ビタミンと同じく体内で合成ができないため、以下のような食品から摂取するようにしてください。
 
<ビタミンB6>


  • マグロ(赤身)

  • カツオ

  • 赤ピーマン

  • バナナ


 
<ミネラル>

  • 海藻

  • 乳製品(ヨーグルト、牛乳、チーズなど)

  • 緑黄色野菜(にんじん、かぼちゃ、ほうれん草など)


目的に応じて最適な食事を取り入れよう

重要なのは、トレーニング前後の食事です。人は体を動かすときにエネルギー源を消費したり、筋タンパクを分解しながら筋肉の合成も促進します。そのため、体を動かすためのエネルギー源が不足していると、筋肉の合成よりも筋タンパクが分解される量のほうが多くなってしまい、筋肉をそれ以上に肥大化させることはできません。効率的に筋肉をつけるには、目的に応じて適切な栄養補給が必要となります[1]。

筋肉量を増やしたいとき

厚生労働省が推奨している1日あたりのタンパク質の摂取量は18歳以上の男性で60g、18歳以上の女性で50gです[5]。軽い運動を日常に取り入れる程度(消費カロリーが200~400kcal程度、中等度以下の運動)であれば、タンパク質の必要量は増加しないという報告もあります[6]。
一方、たとえば男性がしっかりと筋肉を増量させたい場合は、国内のアスリート向けガイドラインによると、体重1kgあたり1.5~2.0gのタンパク質の摂取が推奨されています[4]。これは、平均的な体格の男性が健康的な生活を送る上で推奨されている摂取量の約2倍です。ただし、体格や各々の筋トレのメニューによっても異なるため、筋トレでの消費カロリーを考慮してタンパク質の量を調節しましょう。

体脂肪を減らしたいとき

筋肉の量を落とさずに体脂肪を減らして体を絞りたいときは、食事の脂質量を抑えます。脂質をまったくとらないようにするのではなく、糖質、脂質、タンパク質から得られるエネルギー合計の20~25%におさえるのが理想的です。方法としては、ゆでる、蒸すなど油を使わない調理法がおすすめです。[4]。そのほか、海藻やきのこなどの低カロリーな食材を利用する、砂糖やお酒を控えることも意識しましょう。

持久力を上げたいとき

サッカーや野球、マラソンなど競技スポーツに挑戦するなら、持久力を高めたいですよね。アスリートのガイドラインによると、持久力アップを目的とする場合、糖質の摂取は体重1kgあたり7~10gと多めの量が推奨されています。肝臓の中の「グリコーゲン」という糖質が減ると、持久力が下がってしまい、運動中にばててパフォーマンスが低下するためです。
 
一般の人の場合は、1日に摂取するカロリーのうち50〜65%を炭水化物からとることが基準とされているため、これを目安としましょう[7]。

足りない栄養素はサプリメントで補おう

筋肉強化をサポートするサプリメントといえば「プロテイン」です。プロテインとは、英語でタンパク質のことを指します。既述したとおり、食事であれば肉や魚、卵、乳製品、大豆などの食品から摂取できる栄養素ですね。
 
プロテインサプリメントは体内の吸収効率を良くしたもので、筋肉量の増加や筋力・持久力の向上を目的とし、主に筋トレやスポーツ中の栄養補給に用いられます。
 
原材料や配合成分によって、主に次のような種類があります。

プロテインの選び方

プロテインは、主に「ホエイ(ホエー)」「カゼイン」「ソイ」の3種類に分けられます。筋トレの補助目的でプロテインをとり入れるのなら、吸収が速い牛乳由来のホエイ系プロテインが最適です。以下を参考にして、目的別に選んでみましょう。
 


  • 瞬発系:吸収速度がすばやいホエイプロテインを主な原材料として配合しているものが多い

  • 持久系:ホエイやソイプロテイン、カゼインなどのプロテインに加え、エネルギー源となる糖質や汗などで排出されるミネラル成分の配合が考慮されている

  • 増量:プロテインに加え、糖質の分量が考慮されている

  • 減量:大豆由来のソイプロテインを原材料とするものが多い


プロテインを飲むときの注意点

プロテインを飲むとき、シェイカーを使うときは液体から入れるようにしましょう。先にプロテインを入れるより、水や牛乳など液体を先に入れておいたほうが溶けやすくなります。
 
また、オレンジジュースなどの酸性の果汁飲料で溶かそうとすると、タンパク質が反応して固まりダマになりやすいので注意してください。そのほか、ホエイプロテインは人肌以上の温度の熱湯に溶かすと熱変性が起こり、こちらもやはりダマになります。温かく飲みたい人は、カゼインプロテインやソイプロテインを選ぶと良いでしょう。変質や栄養価の低下を避けるため、飲む直前につくることも重要なポイントです。

筋肉の合成に関わる「ビタミン」もおすすめ

特に、次の2つは筋トレの作用を高めるのに役立ちます。
 
〈ビタミンB群〉


  • ビタミンB1:エネルギー源をしっかり代謝させるために欠かせない栄養素

  • ビタミンB2:体脂肪を燃焼させるはたらきがある

  • ビタミンB6:摂取したタンパク質がしっかり活躍するためにも必要な栄養素


 
〈ビタミンD〉
筋肉のなかにはビタミンDの受容体があるため、ビタミンDがここに結合するとタンパク質の合成が促進され、筋肉の増強に役立ちます。

栄養素を取り入れるタイミングは?

食事やサプリメントから栄養素を取り入れる際は、タイミングも非常に重要です。理想的な食事のタイミングはトレーニングの前と後。空腹で行うと筋タンパク質をエネルギーとして使ってしまうため、トレーニング前に必要な栄養が体内にある状態にすると良いでしょう。
また、筋力トレーニング後の筋タンパク質の合成速度は、運動終了から数時間目までがもっとも高くなり、タンパク質の吸収率も高まっています。そのため、トレーニング直後にタンパク質を摂取するとより効率的に筋肉を強化することができます。プロテインサプリメントの場合は、トレーニング後30分以内の摂取が基本です。

過剰摂取には注意しよう

タンパク質を多く含む食品は、脂質の量も多い傾向があります。そのため、「低脂肪」や「脂肪ゼロ」の表示を目安に選ぶと良いでしょう。大豆製品や鶏肉なども、低脂質高タンパク質食品として手に入れやすい食材なのでおすすめです。
 
また、製品によりますが、プロテインにはタンパク質だけでなく、そのほかの栄養素が含まれているものもあります。ほかのサプリメントも併用している場合は、同じ栄養素の過剰摂取にならないよう注意しましょう。

食事とサプリメントのバランスがポイント

サプリメントはあくまで、トレーニングを補助する目的でとり入れるものです。筋肉を育てるためには1日3回のバランスの整った食事を基本とし、プラスαとして上手に活用して理想のボディづくりに役立てましょう。

参考文献
 
[1] 寺田新. “第4章 たんぱく質” スポーツ栄養学 東京大学出版会 2017; p111-147
 
[2]独立行政法人農畜産業振興機構. “スポーツ成績向上のための栄養学”独立行政法人農畜産業振興機構webサイト. https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_000537.html(参照2019-08-02)
 
[3] ロコモONLINE(日本整形外科学会公式ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト). “「筋肉」を強くする食生活” ロコモONLINE. https://locomo-joa.jp/check/food/recipe_muscle.html (参照2019-06-20)
 
[4]公益財団法人日本スポーツ協会. “アスリートの栄養摂取と食生活” 公益財団法人日本スポーツ協会.https://www.japan-sports.or.jp/Portals/0/data/ikusei/doc/k3-34.pdf(参照2019-06-20)
 
[5]厚生労働省. “1─2 たんぱく質” 厚生労働省ホームページ. https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042630.pdf(参照2019-06-20)
[6] Kido Y, et al. Recommended daily exercise for Japanese does not increase the protein requirement in sedentary young men, J Nutr Sci Vitaminol 1997; 43(5): 505-514
 
[7]厚生労働省. “1─4 炭水化物” 厚生労働省ホームページ. https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042630.pdf(参照2019-08-01)

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